パーキンソン病の薬の効き具合

パーキンソン病の薬はどのぐらい効くのか。ここでいう効くというのは作用ではなくて時間のことで、薬がどのくらいの時間効くかということです。進行していくと作用もとても重要になってくるのですが、初期では、どのくらいの時間効くかということが日常生活を送る上で非常に重要で、裏返していえば、薬を最小限の摂取量、種類で薬の効かない時間(ウェアリングオフ)をどのようにしてつくらないか、がとても重要だということです。

先に書いたように内科的に非常に効率の悪いパーキンソン病の薬ですが、ここではL-ドーパ製剤で調べてみると藤本健一先生(自治医科大学神経内科准教授)の講演録によれば、血中濃度の半減期が60-90分と書かれています。つまり、1-2時間で薬効がなくなるということですから、この時間ごとに補給しないと病状(振戦や固縮等)が改善されないということになります。大抵はL-ドーパ製剤を補助する他の薬、例えばエフピー等も併せて飲むのでもう少し時間は延びると思います。

母の場合は最近パッチ型の皮膚に貼る薬を処方されて、飲み薬は食後1日3回と少ない回数で済んでいるようですが、私の場合は2~3時間ごとに開発中のサプリメントやL-ドーパ製剤を飲んでいる状態です。


パーキンソン病とサプリメント カプセル

バイオアクティブ社のムクナ豆エキス粉末「バイオドーパⓇ」を用いてパーキンソン病のサプリメントをつくることを決め、サプリメント製造会社数社と打合せや見積もり等のやり取りを経て試作段階となりました。この間、自分が思っているよりもかなり時間がかかりました。

例えば、サプリメントは巷にいろいろあって日々何気なく飲んでいますが、作る側になるといろいろと気になることが出てきます。その一つがカプセルです。

ここでいうカプセルとはハードカプセルです。ムクナ豆エキス粉末をハードカプセルに装置で充填する訳ですが、カプセルの素材を考える必要があるということです。

ハードカプセルの大半はゼラチンが多く、以前は牛由来でしたが、狂牛病(BSE)の問題から今は豚由来のゼラチンが使われることが多く、安全性も十分担保されているものです。これも中国製が多く、輸入品のサプリメントでは未だに牛由来のゼラチンもあるかもといわれています。ゼラチンのハードカプセルは安全性は担保されているとしても特有の臭いと味が気になります。特に夏場はこれらが強いように思います。しかもゼラチンはコラーゲンつまりタンパク質ですから体内への吸収を考えるとL-ドーパとの相性面ではあまり使いたくないと考えます。

この結果、今回開発するサプリメントでは植物由来のハードカプセルを使うことにしました。いろいろ調べた結果、カプスゲル・ジャパン社の次世代ヒプロメロース(HPMC)カプセル Vcap PlusⓇを使うことにしました。

Vcap PlusⓇの特長は、ヒプロメロース(HPMC)、つまり植物繊維であるセルロースを原料としており、広範囲な製剤分野で使われていて信頼できること、強い皮膜強度で割れなどに強いこと、またpHの影響を受けにくい溶出特性から食事内容等に影響されにくいことなどが挙げられる、優れたカプセルです。


ムクナ豆のサプリメント2

更にムクナ豆 (植物名:ムクナプルリエンス Mucuna Pruriens、一般名Velvet Bean他)のエキス粉末について調べてみました。

供給メーカーとしてはインドや中国、ブラジルの会社があり、L-ドーパ15%含有と30%含有の2種類があるようです。薬剤メーカーに勤める友人になんとかサンプルを入手してもらい、キットを買って自分でカプセルに手詰めして試してみることにしました。友人の話では中国製が安くて出回っているが様々な理由から勧めないとのことでした。

いくつか入手できたのですが、効果が体感できたのがバイオアクティブ社のL-ドーパ30%含有のムクナ豆のエキス粉末でした。

バイオアクティブ社はインドが本社で日本法人もあります。添付されてきた資料も詳細でトレーサビリティや安全性の書類も整っています。

「バイオドーパ」という名前で商標登録しており、添付資料にはムクナ豆(種子)の主要な生理活性成分としてL-ドーパ、アルカロイド、アスコルビン酸、食物繊維他の含有量が示されていますし、パーキンソン病の症状改善のほか、ラット試験では、抗糖尿病活性、つまり血糖やコレステロールの低下の確認とか、不妊症男性の精液の質を改善するなどの資料も添付されており、いろいろな効果があることがわかりました。


ムクナ豆のサプリメント1

次に試したのはムクナ豆のサプリメントです。

これは、ムクナ豆から抽出したエキスをサプリメントにしたもので数種類の商品をネットで購入することができます。

できるだけ購入し、試してみることにしました。

諸元によると、主な原料は、ムクナ豆(種子)のエキスでL-ドーパ15%含有というものが多く、輸入品ではカプセル1粒当たりL-ドーパ何mg含有と明記してあるサプリメントもあります。

非常に期待して試してみました。

効果が出やすい空腹時に所定量を飲んでみて、効果が感じられなかった場合は、少し量を増やしてもう一度飲んでみることを繰り返してみました。体調の変化もあるので少し日にちを空けても試してみました。

比較対象はムクナ豆です。その効果は身体が覚えていますし、食後どのくらいで反応が出て、どのくらいでなくなるのか、振戦や固縮がどの程度改善されるかはわかっています。

購入したサプリメントは輸入品が多いのですが、効果が殆ど感じられないのです。特にL-ドーパ15%含有のものは少し多めに飲んでも効果が感じられない結果でした。

ただ、30%含有表示の国内メーカーのサプリメントは幾分か効果があるように感じられ、可能性のあることが判りました。


パーキンソン病と天気

今日は梅雨が明けたというのに朝からかなりの雨が降っています。とにかくこういう日は体調が悪いというのがこの病気の特徴かなと思います。気分も落ち込むし、テンションも上がらない。梅雨の間、体調が悪くて、梅雨明けでやっと戻ってきたところだったのに。

この病気は非常に疲れやすい病気だとも思います。歩くだけでも身体(脳?)がバランスをとるのに無理をしていますし、ふるえること自体が非常にエネルギーを消耗することですし。

疲れてくると眠くなり、昼食後の仮眠は必須になってきました。これで少しでも脳が休むと体調が改善されることがわかっているので仮眠が取れたときはラッキーって感じです。

あと、睡眠不足が応えます。サプリメントや薬の効きも悪いですし、身体も1日思うように動かない状態が続きます。風邪をひいた状態に似ているので市販の風邪薬を飲むと良くなることが多いです。とにかくいろいろと対症法を考え、試している日々です。


ムクナ豆 その後

ムクナ豆を煮てパーキンソン病の処方として食してきて、割とうまくいっていたのですが、夏を前にして大きな問題がいくつか出てきました。

・豆の大きさやバラツキでL-ドーパの含有量が一定しないのか、その他の要因なのか、効果が一定しないときがあること。その時の体調もあると思うのですが。

・タッパーウェアにムクナ豆を入れ、1日持ち歩いている間に腐ってしまうこと。

・会議中や打合せ中に摂取タイミングがきても、人前で薬を飲むようには、豆を食べることはできないこと。当たり前なんですが。

長期の出張や業務が予想より長くなった場合には上記の問題が重なるため、他の方法を探す必要が出てきました。緊急避難的にはL-ドーパ製剤のネオドバストンを処方してもらっているので、これで対応することは可能なのですが。

これらの問題を解決するために恐らく誰もが最初に試すのが、ムクナ豆(八丁豆)の粉末であろうと思います。

市販されているムクナ豆粉末を購入し、同じように食してみましたが、私は効果を実感することができませんでした。試しにオブラートで包んで飲んでもみましたが結果は同じでした。

ムクナ豆も高いものですが、粉末は更に高価であることも気になります。またも他の方法を探さざるを得なくなりました。


薬の量、意味

パーキンソン病患者の場合、個人差が多く、薬の種類、量、飲むタイミング、間隔が非常に重要になります。母の場合を見ても、一時期、薬が合わず、幻覚を見たり、全く動けなくなったりしたことがありました。その時はかなりの貧血症状が出ていたので原因を調べるために入院し、この間に薬のマッチングを行いました。結局、貧血の原因はわからなかったのですが、薬のマッチングが上手くいき、今では日常の簡単な作業であればすることができ、介護度も下がっています。

薬を飲むのは自分ですから自分がその反応をよく確かめて医師と相談の上、薬の種類や量など主体的に判断することが必要だと思います。風邪をひいたので医者へ行く、対象療法として風邪薬と消化薬が出される、食後に飲んでおけばいいやというのとは全く違うと思います。

自分の今の進行状態を把握して少しずつ対応していくこと、その主体は自分であること、医者が治してくれる病気ではないことを肝に命じる日々です。


薬やサプリメントを飲むタイミング

主治医によれば、パーキンソン病の薬を飲むタイミングは、空腹時が最も効き、食後では効きが悪くなり、特に油ものを食べた後に飲むと効きが悪いと言います。

藤本健一先生(自治医科大学神経内科准教授)の講演録によれば、胃壁にあるドーパ脱炭酸酵素によって服薬したL-ドーパの9割が分解され、更に血液中のドーパ脱炭酸酵素やCOMTによって血液中に入ったL-ドーパの9割が分解され、脳に到達できるのは服薬したL-ドーパの1%に過ぎないと説明されています。L-ドーパ製剤の場合は末梢性ドーパ脱炭酸酵素阻害薬との合剤になっていますから10%くらいが脳に到達するそうですが、飲み方によってはそれを大きく下回るということです。先生はパーキンソン病の薬は生物学的利用率が非常に低い薬だといわれています。

L-ドーパはアミノ酸ですから、他のアミノ酸と一緒に飲むと競合して吸収が悪化し、しかも作用時間も短くなると説明されています。つまり、牛乳などのタンパク質でL-ドーパをとることはダメだということです。

L-ドーパは胃ではなく、上部小腸まで行って初めて吸収されるということですから胃に停滞させずに飲む方法、つまり200cc以上の水分で早く小腸に送り込むことが大切と説明されています。水分は水、コーヒー、ジュース、アミノ酸の入っていないスポーツ飲料でも構わず、バナナのチロシナーゼやビタミンB6は吸収を阻害するので30分以上経ってから摂取するようにいわれています。

pfizer社のHPの服用中の注意としてL-ドーパ製剤は酸性にすると吸収がよくなるので酢の物や柑橘類のジュースなどで酸を補うようにする、ビタミンCと一緒に飲むとよい場合もあると書かれています。また、同薬の効果を高めるためにタンパク質を夕食で取ることを勧めています。

サプリメントでは更に吸収が悪くなるでしょうから飲むタイミングや量を調整することが必要です。

私自身も昼食は栄養を考えながらあっさりとしたものにしています。午後に商談や会議がある場合はおにぎり1個やうどん、そばで済ましておくことも少なくありません。

まあ、そのあと何かを食べたり、夕食を焼肉にしたりとバランスは取っているつもりなのですが。


診察その後 L-ドーパ製剤

主治医の勧めもあり、エフピー錠だけはパーキンソン病の進行を抑える可能性があるかもしれないからの一言を信じて3年強飲み続けてきました。薬価も高く、これだけで月に3千円ぐらいの支払いになります。

後で分かったのですが、この薬は他のパーキンソン病薬の効果を長引かせるなどの補助薬であり、単独で使うことは日本神経学会のガイドライン違反のようです。

最近になって時々軽い頭痛があり、血圧を測ってみると上が150台になっていることが多く、主治医に相談してみましたが、副作用で低血圧の報告はあるが、高血圧の報告はないとのことでした。試しに飲むのを止めてみたら、その後は高血圧症状が起こらず、そのまま飲むのを止めてしまいました。

パーキンソン病のガイドラインが2011年に改正され、初期の患者でもQOLの向上からL-ドーパ製剤の使用が認められることになりました。

主治医と相談し、常用するわけではなく、緊急避難としてのL-ドーパ製剤の使用はありとの判断でネオドバストンL100を1日1錠分出してもらうことにしました。

午前に半錠、午後に半錠服用すると夕方には軽い頭痛が出て体調が悪くなりました。

1/4錠を2時間半ごとに飲むと振戦と固縮が少し抑えられムクナ豆が効いている状態+αの状態になり、軽い眠気があるものの、持続時間も少し長いように思います。やはり、パーキンソン病の薬の王様は優れていると思いましたが、主治医の説明程劇的な効果が出なかったことに少しがっかりし、期待したほどではなかったなという感じでした。

長期に服用すると効果が低下したり、不随運動が出るとの言われるL-ドーパ製剤ですが、うまく取り入れて使い方を試行錯誤してみようと思いました。


「ふるえ系」と「かたまり系」

パーキンソン病の場合、症状の個人差が大きく一概に言えないのですが、周りの同病者を見ると、個人的には、症状に手足のふるえから始まる人と、身体がかたまることから始まる人の両者に分かれるように思います。振戦と固縮の発現の違いで相対的なものだとは思うのですが。

「ふるえ系」の人は、手足が振るえるので初期から病状に気がつくことが多く、私のように自分の異変に気づいて早めに診察に行き検査をすることとなります。ただ、高齢者では手足の振るえが加齢によるものと思いがちで、主治医に言わせれば隠れパーキンソン病患者はかなりの数に上るのではないかと言います。

「かたまり系」の人は、普通に歩いているのに転倒しやすいとか、一般動作が鈍いとか自分では気づいていない場合もあるようで、その分、治療開始が遅れる可能性があります。

身体が動かなくなってから病院へ行き、パーキンソン病と診断される。身体が動かないわけですから薬によって身体を動くようにコントロールせざるを得ず、薬の種類や量も当初から多いように思います。同時に薬効が切れたとき、つまりウェアリングオフが起きないように常に注意が必要になってきますが、これも食事や血液の状態で左右されるので「ふるえ系」の人より難しいこととなります。

主治医によれば「ふるえ系」の人はふるえていても日常生活ができることが多く、薬を飲まずにそのままにしている患者も多いし、どちらかと言えば、パーキンソン病の薬はふるえを止めるよりはかたまりを緩和する、動かすようにする薬に主体があるように思うと言います。